マタイ福音書2章 王の誕生

聖書から
01 /14 2024
王の誕生 マタイ福音書2章

博士たちの礼拝(1-12)

 遠くバビロンの地からやってきたと思われる博士たちは、当時ユダヤを支配していたヘロデ王がどんな人物か知らなかったのでしょう。ヘロデは自分の地位を守るために、妻や息子たちさえ殺害するような王でした。彼は「ユダヤ人の王、キリストが生まれた」と聞いても、自分の地位を脅かす邪魔者としか考えませんでした。

 一方、ヘロデから、「キリストはどこで生まれると預言されているのか」と聞かれた祭司長、律法学者たちはどうだったでしょう。彼らはその知識を用いて「ベツレヘムです」と答えるだけで、自ら探しにも行かず無関心なようです。異邦人である博士たちの言葉など信じなかったのでしょう。キリストが生まれたならまずユダヤ人の私たちに知らされるはずで、異邦人が先に知るなんてありえないと思ったでしょう。

 それに比べて博士たちは、キリストの誕生を喜び、贈り物を携えて長い旅をしてきました。そしてキリストを探し出して礼拝をしました。

 今日も人々はキリストの福音に様々な反応をします。最初から否定的な人、無関心な人、興味を抱く人など様々でしょう。
 あなたはキリストの話を初めて聞いたとき、どうでしたか。

エジプトへの避難(13-18)

 ヘロデから逃れるため、神はヨセフにエジプトに行くように命じます。ヘロデが死んだ後戻ってくるのですが、それがホセア書11章1節の預言の成就だと記されています。この箇所の本来の意味は、大昔ユダヤ民族がエジプトから救い出された出来事を述べているのですが、それがこのイエスのエジプトへの避難と帰還をも預言しているのです。
 そしてそれは単に出来事の追体験でなく、イエス・キリストというお方が新たな出エジプトを導くお方、罪の奴隷である私たちを解放されるお方であることを暗示していると解釈されています。

 キリストを見つけられなかったヘロデはベツレヘムの2歳以下のこどもを殺害するという暴挙を行います。それまたエレミヤ書31章15節の預言の成就だと記します。その本来の意味は600年ほど前の出来事で、ユダヤが滅ぼされ、大勢の人々がバビロニアに連れていかれる様子を嘆く箇所です。ラケルとは、ユダヤ人の父祖ヤコブの妻でイスラエル民族の母の象徴です。ここではバビロン捕囚のときの母親の嘆きと、ヘロデに子を殺された母の嘆きを重ねています。

 子どもたちが殺されることが預言されていたことだなんて、ちょっとひどいな神様、とおもうかもしれません。しかしそれは決して神の望みではありませんでした。なぜなら、この箇所では他の箇所のように「成就するため」ではなく、「成就した」と書かれており、決して神が望んでそうしたのではないことが表現されています。
 エレミヤ書のこの前後をお読みになるとわかりますが、エレミヤはその暗い現実の先に神の救いの希望があることを預言しています。おなじようにイエス・キリストは、この野蛮な王が支配する暗い現実に希望をもたらすお方としてマタイは描いているのではないでしょうか。

ナザレへの帰還(19-23)
 
 ヘロデ王の死後、ローマ帝国はユダヤを3分割して3人の息子に統治させました。エルサレムやベツレヘムを含むユダヤ地方はアルケラオという息子に任せられました。アルケラオは残忍で即位後三千人のユダヤ人を殺害しました。ヨセフは引き続きベツレヘムに住みたかったのでしょうが、そんな混乱した地に住むことを恐れました。神様の警告もあってガリラヤのナザレに住むことにしたようです。ルカの福音書によればもともとヨセフとマリヤはナザレに住んでいたので、故郷に帰ることにしたのでしょう。ガリラヤはエルサレムから見れば田舎で、「ナザレから何の良いものが出るだろう」と弟子のナタナエルが言ったように、蔑まれた田舎者の無学な大工としてイエスは育つことになります。これも神の計画でした。

 何もできない赤ん坊として生まれたキリストは、神の導きとヨセフの従順な信仰により守られました。これ以降ヨセフは聖書に登場しません。ヨセフにも様々な思いがあったでしょうが、神に従い大切な役目を果たしました。

 今年は、ヤコブ、ヨセフ、エレミヤと、旧約聖書を主に学んできました。
 神様は人間の愚かさを通してもご自身の約束を実現させようと、忍耐をもって人々を導いてきました。マタイもまた、罪のただなかで神の救いのご計画が間違いなく進んできたことを記しています。
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Luke Tokita

プロテスタント福音派信徒、在野聖書研究者です。

eBile Japanというサイトを運営しています。メルマガも発行してます。

教団、教派、特定の神学にこだわらず、信徒として学んだことを書き留めています。

いわゆる「キリスト教こたつ記事」です。

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